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 夫である阿部保名に狐だということがばれて身を隠す葛葉ギツネですが、保名は幼い息子を抱いて葛葉を捜しまわり、とうとうある山の奥で彼女をみつけ、「狐でもいいから戻ってきてくれ」と懇願します。獣の身を恥じて巣に引きこもったまま、葛葉は「妻が狐だったと知れてあなたがひどく言われたりするようなことがあれば私はつらいし、子供のためにもなりません」といっしょに帰ることを拒みます。
 そこまで愛しあってるんだから別に狐だとわかってても添い遂げたっていいようなものですが、そこはまあ日本人の感覚と言うか、保名は泣く泣く子供をつれて山を下ります。昔のことですから社会に後ろ指差されながら生きるのは今よりずっと難しかったんでしょうしね。 それにもう2度と狐の本性を愛する人の前にさらしたくないと言う葛葉の女心をくんであげたのかも知れない。

 ちなみにクスハ君とはちょっと名前似てるけど関係ありません(笑)。クスハ君は楠葉という関西の地名からとった名前です。